日本カウンセリング学会カウンセリング心理士倫理綱領

日本カウンセリング学会は、日本カウンセリング学会カウンセリング心理士(以下カウンセリング心理士という)がその専門的職務の遂行に際して、その適正を期するために、必要な基本的道義的責任事項を掲げるものとする。

1条.クライエントに対する責任

カウンセリング心理士は、援助を必要とする人が適切なカウンセリングを受けられるように配慮し常にクライエントの人格的成長と福祉とを促進することに努めなければならない。

1.カウンセリング心理士は、クライエントとの関係において、ビジネス関係や性関係のような二重関係を結んではならない。
2.カウンセリング心理士は、カウンセリングが終結して一年未満のクライエントと結婚関係を結んではならない。
3.カウンセリング心理士は、その職務の遂行にあたっては、適切な場所、時間で行わなければならない。
4.カウンセリング心理士は、セクシャル・ハラスメント(セクハラ)が生じないように配慮しなければならない。
5.カウンセリング心理士は、その業務内容については、クライエントの理解と了承(インフォームド・コンセント)を得なければならない。

2条.秘守義務

カウンセリング心理士は、クライエントの秘密を保持し、厳守しなければならない。

1.カウンセリング心理士は、専門職として知り得た秘密の保持には細心の注意を払わなければならない。その公表に当たっては、クライエントあるいは他の人の生命の危険等、緊急な事態にあると判断される時以外、必ずクライエントないしは保護者(同伴者などを含む)の同意を得なければならない。
2.カウンセリング心理士は、研究発表にあたり対象者やクライエントの同意を得なければならない。あるいは、クライエントが特定出来ないような方法を講じなければならない。

3条.専門家としての能力と責任

カウンセリング心理士は、専門家としての能力と資質を身につけなければならない。

1.カウンセリング心理士は、その行為が人々の生活に大きな影響を及ぼす可能性の自覚の上に立って、常に自己の限界を知り、研鑽に励むとともに、職務の遂行に当たらなければならない。
2.カウンセリング活動の際、精神科医、弁護士、他のカウンセラーなどの援助を必要とするようなクライエントについては、クライエント、ないしは保護者の同意を得て、速やかに、適切な専門職ないしは専門機関に委嘱あるいは紹介し、協力を求めなければならない。
3.カウンセリング心理士の公的発言は専門的立場から見てその権威や内容について誇張や煽動や不誠実のない公正、正確なものでなければならない。
4.心理テストは、訓練・指導を受けていないものは実施してはならない。

4条.金銭に対する取り決め

カウンセリング心理士は、クライエントまたは支払いをする第三者に、納得のいく金額を提示しなければならない。

1.カウンセリング心理士は、カウンセリングに対して過剰な支払いを求めてはならない。その職務上の報酬は、適正でなければならない。
2.カウンセリング心理士は、カウンセリングを開始する前に料金を明示しなければならない。
3.一括前払い方式の料金体系は、キャンセル時に問題が生じないよう、条件を明示しなければならない。

5条.宣伝・広告・教育・管理

カウンセリング心理士は、カウンセリングについて適切な情報を提供するものとする。

1.カウンセリング心理士は、事実に反することやクライエントに過剰な期待をもたせるようなことを宣伝したり広告したりしてはならない。
2.カウンセリング心理士は、自らの受けた訓練、教育について、求められた場合にはクライエントに情報提供しなければならない。
3.カウンセリング心理士が教育指導や管理の立場にある場合も、クライエントに対する本倫理綱領はその対象に対しても適用するものとする。

6条.罰則

カウンセリング心理士が本倫理綱領に反する行動をおこなったときには、倫理委員会の調査の結果、除名を含む処分の対象となる。

付則 本倫理綱領は1997年7月26日より施行する。
付則 本倫理綱領は2021年7月18日より施行する。
付則 本倫理綱領は2023年4月27日より施行する。

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