リレー・エッセイ1・会報 59号掲載

■ 「新米で最初が夜驚症、次が夜尿症に離婚相談
− 相談が嬉しくもあり、怖くもあった −」

松原 達哉

 大学院修士一年に入学とともに必須の「教育相談実習」をしながら、講談社児童相談所相談員となり週一回勤務した。
 最初の事例が6歳児の夜驚症の相談。講義でも教科書でも学習していなかったので、身の縮む思いでインクテークした。その日に相談所にあったKanner L.の児童精神医学辞典を熟読し、辞典通りに原因を説明した。「子どもの帰宅を暖かく迎え、スキンシップをし、夜はテレビを消し、静かな部屋で母が添い寝をするよう」助言したら、入学後9ヶ月続いた夜驚症が1週間で完治し、心理療法のすばらしさを体験し、興味が深まった。
 2番目の事例が5歳児の二次性夜尿症。辞典を読み武政太郎先生のスーパービジョンを受けて相談したが、治療に1年もかかった。
 3番目が離婚相談。新米で来談者が来るのが嬉しくもあり、怖くもあった。私が結婚し、子育てを経験してからは、自信もでき、母親からの信頼も深まり、相談効果もあがった。
 (常任理事、認定カウンセラー)